株式会社藤井設計室
南紀白浜とれとれヴィレッジ
阿蘇ファームヴィレッジでの成功を受けて、南紀白浜にて大規模な産直市場を運営されている漁協の組合長からの依頼でした。この場所にはそれまでトレラーハウスを利用した宿泊施設があり多くの方が利用されていましたが、組合長の決断によりそれらを全部撤去してドームハウスを建てました。敷地の入り口からは施設全体の眺望を感じられないため、コテージを数ブロックに分けてドームコテージと同じデザインの塀を巡らせて囲い、ブロックごとに独立した集落に見えるよう敷地の奥に意識が向かうように誘導します。以前にトレーラーハウスを導入するために敷地を周回する舗装道路が設けられていましたのでこの道路は壊さず利用しました。この道路から車が通れないわき道を接続させ、わき道からコテージに入るように計画されています。阿蘇ファームヴィレッジと同様一期工事(二期工事以降は私の設計ではありません)ではコテージの配置が規則正しくならないように注意深く?まばらに配置しています。コテージ村と同時に、温泉施設とレストランも建設され、ちょうどこのころインターネットサイトの旅行案内が増え始めたところで「一度は泊まってみたいホテル10選」「可愛すぎる夢ホテル」「幻想的でメルヘンなホテルに泊まる」等、様々な言葉で紹介されました。規則正しくない、四角いものがない、屋根がない、電柱がない、看板がない、自動車がない、2階がない、外部空間を演出するための外灯しかないなど、普段見慣れている風景と違う部分がこのような紹介文を書いていただける要因になるのかと考えます。また、これまでの建築に「かわいい」という表現が用いられたことはないと思いますのでそれなりに評価いただいていると受け止めています。建築家を目指す人のあこがれは、シャープなものソリッド、マッシブ、シュール、エキセントリックこのような評価だったと思います。いままで見てきた建築の中で「かわいい」が当てはまるとしたら、イタリアのアルベロベッロくらいでしょうか。この施設のように「かわいい」が評価されるならば新しい表現の始まりになるかもしれません。