株式会社藤井設計室
かしいかえん
かしいかえん(正確にはその頃はかしいかえんシルバニアガーデン)は福岡の郊外にある西日本鉄道株式会社が運営されていた低学年向けの遊園地です。コロンブース道場という名前の周遊型アスレチックを園内に作ったところ大人気で、それをきっかけに園全体のリニューアル計画をさせていただきました。植物関係のコーディネイトはすべて有名なガーデンデザイナーの石原和幸氏が担当されました。園は花公園としてオープンして後、80周年を迎えようとしており、風光明媚な海辺に作られた施設は住宅とマンションに囲まれてしまい、用途地域も遊園地建設が成立しない用途地域に変えられていました。また道路整備計画もなく住宅街が発展した影響で、車でのアクセスはすこぶる不便な施設になっておりました。西鉄の駅が隣接しているにもかかわらず、車での来園者が圧倒的に多かったのですが、その理由はファミリー層の来園者はベビーカーを始め荷物が多いためです。車での来園者が圧倒的に多い状況でたとえリニューアルして来園者が増えてもアクセスと駐車台数がままならない件は予想できたので、博多湾の埋め立て地への移転を提案しましたが全く受け入れられませんでした。老朽化した乗り物も含め、遊園地として存続することはほぼ不可能と考え、テーマを「街のオアシス」と決めて、数年のうちに新しいコンセプトの公園へと転換できるよう計画を進めました。つづく
鉄道を利用すれば福岡の中心である天神から地下鉄で20分で着くため、その立地を生かそうと考えた新しい公園コンセプトを以下に示します。
1 レストラン、カフェ、ショップが併設している。
2 広い芝生広場がありバーベキューができてキャンプもできる。
3 夜は大人向けに酒類が飲めて、宴会もできる。
4 季節によってさまざまなイベント会場として利用できる。
5 園全体を回遊式庭園となるよう整備する。
園内には様々な時代に作られた施設の名残がありました。コンクリートの植え込み、噴水池の縁、池、何かわからない仕切りなど、この際そのほとんどを撤去しました。広いバラ園がありましたが、長けたバラはすべて撤去し元気なバラは移設して、広い芝生広場に変えました。老朽化した乗り物も徐々に撤去していく予定でした。
再オープン時には、昔の花公園に戻していくコンセプトが功を奏してか、幅広い年代の方が来園されて、徐々にでも来園者が増えれば良いとした当初の計画とは違う展開になりました。TVメディアのインタビューでご年配の方が、両親に連れてきてもらった、初デートで来たなどのコメントをされているは大変感慨深いものがありました。その賑わいもつかの間のことでコロナの影響が大きく、残念ながら令和3年末日をもって遊園地は閉園になりました。現在はほぼすべての乗り物は撤去されましたが、現在は当事務所が計画した2つのアスレチック施設は残され、キャンプ場、ドッグラン、レストラン等の施設が運営されています。